七福神の一人である大黒天(大黒様)は、満面の笑みで俵に乗る姿で広く信仰を集めていますが、大黒天とはどのような神様なのでしょうか?
また、恵比寿天(恵比寿様)と区別しにくいという方もおられるようです。
ここでは大黒天の起源や特徴、恵比寿天との違いなどについて詳しく解説します。
大黒天の起源
大黒天は、ヒンドゥー教のシヴァ神の別名である「マハーカーラ」から派生し、日本の大国主神と融合して誕生しました。
シヴァ神は、破壊と再生を司るヒンドゥー教の主要な神々の一柱です。
マハーカーラとは、サンスクリット語で「偉大な」を意味する「マハー」と、「黒」または「時」を意味する「カーラ」から成り立っています。
この組み合わせにより、シヴァ神の化身であるマハーカーラは、密教やチベット仏教で保護神として尊ばれるようになりました。
ちなみに、チベット名のマハーカーラには「偉大な黒い人」という意味があります。
大黒天のご利益
もともと戦いや破壊の神としての側面を持つ大黒天。
今では大黒天は、医療・夫婦和合・立身出世・商売繁盛・縁結びなど、多岐にわたるご利益があるとされ、豊穣や財産、医療の神として広く信仰されています。
特に、武神としての役割は毘沙門天に移り、大黒天は豊かさと繁栄の象徴として位置付けられています。
大黒天と恵比寿天の特徴と関係性
大黒天と恵比寿天は、しばしば並んで祀られることが多いですが、これらの神はどのような関係があるのでしょうか。
両者は七福神として知られていますが、似たような外見からしばしば混同されがちです。
ここでは、大黒天と恵比寿店の特徴と関係性についてご紹介します。
大黒天はシヴァ神と大国主命の融合から誕生した神で、頭巾をかぶり、財宝を表す大きな袋と富が湧き出る小槌を持ち、米俵に乗っている姿が一般的です。
これらの外見は大黒天の象徴としてよく取り上げられます。
たとえば、大黒天の持つ大きな袋は、大国主の神話に由来するもので、ネズミを救ったエピソードが元になっています。
また、もう一つの象徴である打出の小槌については、具体的な起源ははっきりしていませんが、これは民間伝承や古い風習に基づくものとされています。
一方、恵比寿天は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の子、または大国主命の子とされています。
恵比寿天は漁業や商売繁盛の神として広く信仰されており、その親子関係からしばしば大黒天と共に祀られています。
通常、恵比寿天は釣り竿と鯛を持つ姿で描かれます。
これらの持ち物の違いにより両神を見分けることができます。
大黒天のご真言とその意味
大黒天のご真言は、「オン・マカキャラヤ・ソワカ」です。
このご真言には、五穀豊穣や商売繁盛、開運などの利益があるとされています。
大黒天を祀っている有名な寺社
大黒天は日本全国の多くの寺社に祀られています。
以下で、大黒天が祀られた有名なお寺と神社をピックアップしてご紹介します。
【お寺】
- 大黒寺(大阪府羽曳野市)・・・日本最初の大黒天
- 大黒寺(京都市伏見区)
- 大円寺 (東京都目黒区) ・・・元祖山手七福神
- 浅草寺(東京都台東区)・・・浅草名所七福神
- 妙円寺(京都府京都市)・・・都七福神
- 四天王寺(大阪府大阪市)・・・三面大黒天
- 安楽寺(愛知県蒲郡市)・・・三河七福神
- 最上稲荷(岡山市北区)・・・三面大黒天
- 大観密寺(宮城県仙台市泉区)・・・油掛大黒天
注1:「三面大黒天」は、大黒天と毘沙門天、弁財天の三天が合体した尊像。毎月3日が縁日。
注2:「油掛大黒天」は、全国に10カ所ほどで祀られている。由来には諸説あるが、油商人が油を大黒天像にかけてお参りしたところ、油が売れ娘の縁談もうまくいったことから、特に商売繁盛と良縁成就のご利益があるとされる。
【神社】
- 神田明神(東京都千代田区)
- 敷津松之宮大国主神社(大阪府大阪市)・・・浪華七福神
- 春日大社摂社夫婦大國社(奈良県奈良市)・・・夫婦大黒天
- 舞子六神社(兵庫県神戸市)・・・日本最大の大黒天、恵比寿天の石像
まとめ
ここまで、大黒天の起源やご利益、特徴、そして恵比寿天との関係についてご紹介しました。
最後に大黒天と恵比寿天について表にまとめました。
この記事を読んでいただいた方の参考になれば幸いです。
大黒天 | 恵比寿天 | |
---|---|---|
起源 | ヒンドゥー教シヴァ神と大国主神の融合 | 大国主神の子または伊邪那岐命と伊邪那美命の子 |
ご利益 | 五穀豊穣、商売繁盛、縁結びなど | 五穀豊穣、商売繁盛、大漁守護など |
ご真言 | オン・マカキャラヤ・ソワカ | オン・インダラヤ・ソワカ |
象徴物 | 大きな袋、打出の小槌、米俵、頭巾 | 釣り竿、鯛 |